不確実性アナリティクス
大規模かつ複雑化したシステムでは非常に多くのリスクが存在します.例えば,商品の生産・流通・消費までの一連のプロセスをシステム化したサプライ・チェーンでは,商品の需要予測に基づいて計画的に材料・部品の調達,製品化,物流,販売のネットワークが構築されています.昨今のグローバル化に伴い,自然災害や疫病感染といった環境リスク,テロや政治的不安定による地政学的リスク,原料の価格変動や株価暴落による経済的リスク,さらには情報システムの故障やサイバー攻撃に代表される技術的リスクなど,さまざまな不確実要因が存在します.そのような不確実な状況の中で高効率・高性能なシステムを構築・運用していくためには,不確実事象の要因分析と予測,ロバストなシステム設計,さらには想定外事象が発生した場合でも損失をできるだけ少なくするような対応策・運用方法の構築が欠かせません.ここでは不確実性環境下における意思決定法確立に向けて,大規模データセンターや情報ネットワークシステム,グローバル・サプライ・チェーンやスマートファクトリを対象に,オペレーションズ・リサーチ的アプローチはもとより,応用確率論や理論アルゴリズム,ゲーム理論やメカニズム・デザインの最新の知見を駆使して,対象システムに対する不確実性の定量的分析,リスクを抑制するシステム構成法の創出,さらには突発的なアクシデントに対応可能なリスクヘッジ的システム運用方法について研究を展開します.