人の叡智に匹敵するネットワーク推論メカニズム

現在様々なモノがネットワークを介して接続している.特に,現在普及が想定される生成AIや自動運転,スマートファクトリなどを安全かつ継続的に運用するためには,ネットワーク上を流れるトラヒックを適切に処理しなけれなならない. 近年注目を集めているネットワークのソフトウェア化とプログラマブル化は,機械学習やAIなどの情報科学との融合を加速化し,インテリジェントなトラヒック処理を可能にする. 特に,機械学習やAIは,特定の領域において,人の叡智に匹敵する能力を発揮している. 高スループットでの動作を想定したコアネットワーク上では,専用機器上にAIを搭載することで,高度なネットワーク推論を可能にしているが,導入コストと運用コストの観点から,エッジ環境への導入には懸念が残される. 本研究テーマでは,エッジ環境で省電力かつ高度なトラヒック処理を実現するために,汎用機器上に安価に導入可能なSmartNICやXDP上で,AIを活用したネットワーク推論メカニズムの創出を目指す. 人の叡智に匹敵するネットワーク推論メカニズムの創出には,ネットワーク上を流れるトラヒックの効率的な収集,トラヒック動向に追随可能な高度な学習,高速かつ高度なトラヒック分類からなる,一連のサイクルを回し続けなければならない. 本研究では,ネットワーキング・プログラミング・AIの融合を介して,このようなサイクルを円滑に遂行する枠組みを確立するとともに,生成AIや自動運転,スマートファクトリを支える省電力性・強靭性・インテリジェンス能力を備えたネットワーキングの実現を目指す.

原 崇徳
原 崇徳
准教授