情報通信機器と防災ナッジを活用した群衆避難支援

大規模な自然災害や人的災害の発生は無視できないものであり,大規模災害の発生を前提としたライフライン設計が求められる. 例えば,2022年と2023年に国内で被害を伴った地震は11件あり,全国の45.6%の市区町村では10年間に10回以上の水害,令和3年度と4年度には17件の重大な電気通信事故が国内で発生していることが報告されている. 本研究テーマでは,人流・物流・情報流の観点から災害ライフラインを設計することで,防災ナッジを活用した群衆避難誘導を確立する. 大規模災害に対して対処するためには,平常時と非常時を想定したアプローチが求められる. 平常時には,ゲーム理論・数理最適化・機械学習などを駆使して物流と収容環境を考慮した避難所割当を実現するとともに,冗長性・強靭性を備えた情報通信基盤の創出を目指す. 一方で,非常時には,モバイル端末やセンサネットワークを利用して,避難誘導と被災情報の収集と拡散を自動化し,防災ナッジを活用した群衆避難誘導方式の実現を目指す. ナッジ理論とは,人々の意思決定を誘導することで,特定の行動を促す理論である. 防災ナッジにより,個々の利己的な避難行動の結果を全体最適となるような群衆行動に誘導する.

原 崇徳
原 崇徳
准教授