以下は現在までに行ってきた課題と今後取り組もうと思っている課題です.
仮想通貨の基盤技術であるブロック・チェーンには,分散性・安全性・拡張性の三要素を同時に満たすことができないトリレンマ関係が存在し,そのため不特定多数の参加ノードからなる分散システム上で,高度なセキュリティを保証しかつ高速なトランザクション承認を提供するブロック・チェーンの実現が不可能と言われている.ここでは,ブロック・チェーンのトリレンマを克服するための方法論をデータ構造,ネットワーク技術,インセンティブ・メカニズムの観点から情報学横断的に研究を行う.
周波数帯域を二次利用するコグニティブ無線技術を応用し,無線基地局非依存型マルチホップ無線ネットワークに向けた自律分散型MACプロトコルの研究を行う.これにより,大規模災害時で通信インフラストラクチャが破壊された場合でも高度な通信品質を提供できる情報通信網を迅速かつ広域に再構築することが可能となる.
極値理論は標本または確率過程の最大値・最小値の漸近的挙動を取り扱う理論であり,災害等の稀少事象が現実のシステムに与えるインパクトを評価できる.ここでは大規模なサーバマシン群から構成されるデータセンターに対して極値理論を応用し,故障に頑強な構成法や応答性能の高いジョブスケジューリングについて研究を行う.また,データセンターの大規模災害に対するリスク管理についても研究を展開する.
コールセンターの設計は,顧客を満足させつつ低コストなシステム設計やオペ レータ配置をしなければならないサービス・サイエンスの重要な問題である.ここでは顧客からの電話を自動的に処理する自動応答システムとオペレーター配置を組み合わせた大規模複合システムの設計問題をマルコフ解析を用いて検討する.
MPEG2 やインターネットなどが混在する超高速ネットワークにおけるトラヒック特性を遅延・棄却率・遅延ゆらぎ(ジッタ)および自己相似性の観点から調べ,それらの特性を表現できる妥当な理論モデルの構築を行う.